使う人を観察し、その人たちの行動から新しい価値を作る

「日本企業は、自分たちの作れるもの、今持っているアセットを元にプロダクトを作ることが多い。結果顧客が本当に求めているものとずれることがある。」

 

8月25日、26日に参加した始動では、開始五分でいきなりこんなことを言われました。

僕ら始動生は120名のうち、70名ぐらいが大企業(一部上場企業)の方々なので、大きくうなづく人もいれば、苦い顔をする人もいました。

 

今回の僕らの講師は、この方。IDEOは、世界で最初にデザイン思考を取り入れた企業であり、その文化をGoogleFacebookに浸透させ、今ではシリコンバレーの様々な企業がプロダクト制作の中心に「デザイン思考」を明文化し、取り入れている。

(と言っていました。笑 でも世界中にいろんな支社があったりメディアの取り上げ方が半端ないです)

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デザイン思考とは、ざっくり言うと人間中心のデザインをしよう!と言うもので。人間中心のデザインをするためには、ユーザーの行動をじっくり観察し、その人たちの行動から課題を発掘し、早い仮説検証で解決して行く。ことが必要。

 

IDEOが手がけ、デザイン思考で解決した一つの事例を紹介。

 

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Bank of AmericaからIDEOに、「若者の預金口座開設者を増やしたい!」との依頼がきたとのこと。アメリカは、銀行に預金すると言う概念自体が強くないので、あまり口座開設をする人がいないので、苦労しているとのこと。

 

そこでIDEOの人たちは、2ヶ月ぐらい若者やその家族、計8家族に張り付き、この人たちの行動特性を観察した。そこで注目したポイントは三つ。

 

1.アメリカの若者は買い物の支払いをデビットカードですることが多い。

2.アメリカの若者は自分で貯金することが上手くない。

3.アメリカの若者は、3.6ドルの買い物を現金でするとき、4ドルの支払いをして、お釣りはいらない。と言う。(その行為がクールだ!と言う雰囲気がある)

 

この3つのポイントから生まれたのが、「Keep the change」と言うサービス。

3.6ドルの商品をデビットカードで支払いをするときに、4ドルが口座から引き落とされ、その差額分の0.4ドルが自動的に別口座に貯金される。一年も使うといつのまにかかなりの貯金ができてハッピー!

と言うもの。これがヒットし、貯金用の口座を作るために多くの若者が口座開設した。これはアメリカの様々なメディアに取り上げられている。

 

これは顧客の行動を観察せずに、会議室だけでマーケティングのプランを考えているだけでは絶対に生まれなかったサービスであり、デザイン思考だから生まれることができた。

 

こういう風に、顧客の行動から、顧客が本当に求めている商品を作ることがデザイン思考である。

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僕らが二日間かけて行ったのは、グループであるテーマに沿って、仮説を立ててみる。その後、実際のユーザーの特徴などを2時間ぐらいのフィールドワークでたくさん特徴を見てくる。ユーザーの特徴から、真に取り組むべき課題や問いを見つけ、それを解決するためのアイデアブレインストーミングをする。数を出した中から、その中でメンバーが取り組みたいものを選んで、それのプロモーション動画を一時間ぐらいで作成する。

 

と言った感じでした。図にするとこんな感じ。

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そんなこと言ってもわからないので、具体的な事例を出します。笑

 

今回のテーマはこれ。

How might we create an innovative Mobility/tourizm experience in Osaka that is the most desirable and innovative in the world for foreigners?」 

どうすれば外から来た人のために大阪で世界一イノベーティブで求められる移動もしくは観光体験を作ることができるだろうか?

 

世界でもっとも魅力的な都市に、日本の東京、京都、福岡は毎年20位以内に選ばれています。しかし、大阪は一度もランクインしたことがない。関西空港があるから様々な外国人が訪れるが、京都など行くための通過点になってしまっている。それを世界一魅力的な体験を生み出すことで、大阪も多くの観光客が訪れる都市にしよう!

 

と言うのがテーマの背景でした。ここからはざっくり書きます。

 

このテーマを与えられた後に、

チームで、大阪の観光地と移動手段を調べて、実際に大阪の街へフィールドワークに出て行きました。

大阪の街では色々な気づきがありました。

 

例えば、

「自転車が多い。だけど、駐輪場の数が少ない。」

「街のテーマが統一されていなくごちゃごちゃしている。」

「大阪地下街などは英語標識も、wifiもなく、ごちゃごちゃしていて必ず迷う」

などなど

 

フィールドワークから帰って来て、気づいたことからPain(苦しい経験)を中心に、本当に取り組みたい、取り組むべき問いを抽出する。

 

 「我々はどうすれば、大阪地下街に外国人観光客が来たくなる日本有数の観光地にできるだろうか?」

 

というテーマを抽出し、ブレスト。

そこから出たアイデアは、「Japan in 大阪地下街」というコンセプトで、外国人が迷わない。更にここに来ただけで日本の全ての食と観光地の写真が取れるものを作ろう!ということになりました。

 

細かい部分は割愛しますが、

要は顔出しパネルの記念写真みたいなのを、47都道府県分作って、ここに大阪のお笑いの要素を取り入れて行こうとかのアイデアがいくつかある感じです。 

 

そのあとはプロダクトの1分半の紹介ムービーを30分で作るという作業。

 

これが僕にとっては地獄だった。

なぜなら僕らチームは誰1人、画像編集や動画編集できる人がいなく、結局全部僕がやった。普通に苦しかった。笑

 

最後にそのムービーを全体発表して終了。

 

結果だけ言うと、

僕らのチームは20チーム中3位で副賞として本をもらいました。笑

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今回はプロトタイプまでは作らなかったが、二日間を通してやったこれらの工程を2週間ぐらいで10回近く回して、ユーザーにとって価値のあるものにブラッシュアップして行くのが、本当のデザイン思考ワークショップだということ。

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結局、会議室で事業計画書の上での議論は、

机上の空論でしかなく、イメージを形にしてから、初めて意味のある議論をすることができる。

 

そんな風に思うことのできた始動第2回目でした。

 

もう一度、僕らの商品が誰かのためになるものなのか?自己満足や押し付けになる可能性がないか考えようと思った二日間でした。